『過去の記憶にふりまわされることのない、安心した生活を取り戻すために・・・』
トラウマ・PTSDは、時間で解決するものではありません。「忘れたいのに忘れられない」のは当たり前のこと。
トラウマ体験をした後の心について、「時間の止まった時計」、「伸ばしても戻らないぐしゃぐしゃの紙」と表現される方もいらっしゃいます。あるできごとの後から、まるでその瞬間に心が置き去りにされてしまったような感覚や、決して元に戻らない傷が残っている。トラウマ体験は、人間の心身に様々な変化をもたらします。
参考:「トラウマの心理学 心の傷と向き合う方法」. 小西聖子. 2012
<トラウマとは>
「トラウマ」とは、非日常的な恐怖体験(災害、事故、事件)や日常的に繰り返されてきた心身の苦痛を伴う出来事(DV、虐待、離婚、いじめ、養育者との不安定な関係等)を経験することによって、心が傷を負った状態のことです。
日頃、口にされるような「トラウマ」より、実は、ずっとずっと重篤です。ここでいう「トラウマ」は、“個人の対処能力を超えるようなできごとを経験して、それを経験したあとにいろいろな心身の不調が持続的に現われる状況”を指します。個人の対処能力を超えるようなできごととは、上に書かれているような、犯罪の被害に遭った・命に関わる事故にあった・親しい人を突然亡くした・災害の被害に遭ったなどの体験が挙げられます。これらの「トラウマ」を体験すると、PTSDという精神疾患になることもあります。